面白い論文が話題になっている。遺伝子を用いた科学的根拠により動物と同じように生きる自然な状態での人の寿命は38歳と判明と言う記事を見たので早速調べてみた。scientific reportの” a genomic predictor of lifespan in vertebrates ” (https://www.nature.com/articles/s41598-019-54447-w)によると42の遺伝子のプロモーター(タンパク質をいつ、どれだけ作るかを調節する遺伝子の部分)のメチル化の標的となるシトシン-グアニン(CpG)の連続配列(DNAはアデニン、シトシン、チミン、グアニンの4塩基でできている)の密度と寿命の間に強い相関があることを見出したそうです。その相関係数(R2)は、CpG密度 vs 脊椎動物で0.75、CpG密度 vs 哺乳類で0.92だそうで、この関係を使うとかなり正確に哺乳類の寿命を計算できます。面白いところではネアンデルタール人は38歳、マンモスは60歳、今も生息している北極クジラは268歳だそうです。このCpG密度は簡単に変異を起こすそうなので、この動物種の寿命の差は進化における強い自然選択の結果だろうしています。私も、もと遺伝子や細胞を扱っていた科学者としてこの42個の遺伝のプロモーターのCpG密度を変えてみたい誘惑にかられますね。若い科学者に期待かな。ともあれ生物としては38歳以後はおまけの寿命なので気楽に楽しく行きたいものですね。