大腸癌検診、信じてよいのか?

2007年の日消癌検診誌によれば、日本で普通に使われている免疫便潜血検査(IFOBT)は有効性が確立しているが、偽陰性を免れないのが欠点の一つとしている。石川県予防医学協会癌検診センターで平成10年から16年度に便潜血検査を実施した177,887人から発見され大腸カメラと細胞診などで確定診断された212例の大腸癌症例を対象の偽陰性について検討が行われた。これら212例の患者のうち偽陰性(便潜血検査陰性なのに大腸癌と診断)は36.3%を占めており、そのうち25%は進行癌(死亡する確率が高い)だった。癌の肉眼的な分類法で見ると0型、発見癌の最大径で2cm以下、癌がまだ粘膜内にとどまっている初期癌などの早期癌が多いことが偽陰性になる原因の一つであることがわかった。便潜血検査偽陰性のうち、進行癌と診断された中の50%は右側結腸に発見された。便潜血検査が偽陰性になる原因は早期癌では一般に出血量が少ないことと、右側結腸では糞便が滞留しやすく、その際にヘモグロビンが変性劣化し便潜血検査でキットが反応しなくなるためと考えられた。便潜血検査偽陰性で大腸癌と診断された早期癌については内視鏡切除などで手術できる割合が高かった。こういう論文が出ていますがズバリ、この便潜血検査はやらないよりまし程度の質の悪い検査です。50歳以上は前回示したように癌になる確率が飛躍的に高まりますから大腸カメラを少なくとも2~3年に1回やるべきだと思います。しかし、恐ろしいことに1年に1回の健康診断も受けない日本人の数は日本の成人男女1億人の内、3600万人もいるそうです。イギリス王室の平均寿命が90以上になっていることや、お金持ちの平均寿命が高い理由の一つがわかる気がします。

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