肥満は糖尿病や循環器疾患、いくつかの癌を引き起こすリスク要因です。国立がんセンターの癌対策研究所が今回、日本人35万人以上のデータを併せたプール解析による定量評価を行い、BMIは体重kg/(身長m x 身長m)で計算できますが、BMIが死亡リスクに与える影響を死因別・男女別に推定し、その研究成果を専門誌において発表しました。
男性の死因別に見ると、「がん」と「その他」の死因による死亡リスクは「逆J型」の曲線を描きBMI低値でよりリスクが高くなりますが、「心臓病」と「脳血管疾患」による死亡リスクは、BMIが高くなっても低くなっても上昇し、BMI高値の場合により顕著な上昇が見らます。
女性の「がん」による死亡リスクについては男性の場合と異なり「逆J型」が見られず、統計的に有意なリスク上昇がみられるのはBMI30-40カテゴリー(肥満)においてのみでした。「心臓病」と「脳血管疾患」の死亡リスクについては男性の場合と同様の曲線が見られました。
BMI低値による死亡率の上昇が際立つ点は、日本のデータはアジアのデータを対象とした国際共同研究の結果と一致しますが、欧米における研究ではBMI高値による死亡率上昇の方が際立つ結果が得られています。何がこうした違いをもたらしているかについては、今後さらに研究が必要としています。それにしても、BMIというと太ったらダメという印象が強いですが、瘦せすぎていても寿命が短くなります。
またケビン・フォンテイン博士の米国の研究によると(JAMA. 2003;289(2):187-193. doi:10.1001/jama.289.2.187)白人男性の場合はBMI38以上の男性の場合20代では寿命が5年から12年短くなりますが、70代では1~2年短くなり、同じ肥満でも若いときの肥満の方が影響が大きい結果になっています。白人女性の場合はBMI41以上で寿命が5~7年短くなりますが、年代別の差はほとんどありませんでした。黒人男性の場合はBMI38以上の男性の場合20代では寿命が5年から20年短くなりますが、70代では1~5年短くなり、白人男性よりも肥満の影響が大きく、若い人の肥満で寿命が顕著に短くなる結果になっていいます。黒人女性の場合はBMI45以上の20代で寿命が5年短くなりますが、70代では寿命のロスはありませんでした。
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